『学校でまなびたい歴史』 2  歴史入門(8)

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7 命のバトン

『この授業をつくったのは四年ほど前のことですが、つい最近私と同じアイディアを詩に書いている人を見つけてとても感動しました。最後にそれを読むことにしましょう』

拡大コピーした次の詩を黒板に貼った。
File0119.jpg


『相田みつをさんという詩人の作品です。読んでみましょう』

 子供たちは五年生の頃から、いくつもの詩や短歌・俳句や古典の名文などを暗唱してきているので、さっと読む姿勢になっている。そして、声をそろえて、リズミカルにこの詩を朗読した。「過去無量」さえわかれば、詩の解釈はかくべつの説明もいらない。

この詩は、今日の授業のテーマをたいへんわかりやすく感動的にうたいあげてくれている。そして、日本の歴史の最先端に生きる子供たちに、「自分の番」という重要なメッセージを伝えてくれたのである。
 おかげで、授業のしめくくりがたいへん印象深いものになった。

 さて、この授業は教師のお話で終わる。バトンは命のつながりだけではないからである。もう一度、冒頭の年表にもどって「国の歩み」と「ご先祖様」をつなげておくことにしよう。

『では、まとめましょう。まず今日心にとめておきたいいちばん重要なことは、これから勉強するどの時代にも、みなさんのご先祖様が生きていたのだということです。歴史を学ぶということは、何かよそごとの知識ではありません。私たち自身のたくさんのご先祖様が歩んできた、その道を、その歩みを学ぶことなのです。
 これから、歴史上の有名人四十二人について学ぶのは、彼らが日本のために大きな仕事をして、日本という国の運命と大きく関わっていたからです。その人物を学べば日本の歩みがわかるからです。
 しかし、歴史上有名な人物だけでは日本という国は生まれません。ここまでバトンは受
けつがれてきません。この日本の過去を生きてくれた数え切れないくらいの日本人がいて、彼らが歴史上の有名人たちと共に歩んだからこの日本があるのです。
 「歴史上の有名人」と「私たちのご先祖様」がいっしょになって日本を守り育ててきた。 それは「国づくりのバトン」です。国づくりというバトンが受けつがれてきたおかげで今の日本があるといえます。
 そのおかげでいま私たちがこうして生きられる。
 そういう感謝の気持ちで歴史を勉強することが大切です。歴史はまさに「日本人である私たち自身」についてのお話なのです。
 明日から始まる日本の歴史の勉強が終わったとき、命のバトンだけでなく、日本という国の、歴史のバトンも受け継ごうという気持ちになれるといいですね』



◆子供たちが学んだこと◆
 学習を終えた子供たちは、次のような感想文を書いた。最後に、子供たちの心にどんなドラマが起こったのかをごらんいただくことにしよう。

■私は今まで先祖のことを考えたことなどありませんでした。先祖のうちだれか一人がいないと、私はいないのでびっくりしました。自分の先祖が信じられないくらいの人数になることにもおどろきました。それから子孫を残すのも大切だなと思いました。
これからしっかり歴史を勉強していきたいです。

■ご先祖を系図で表したとき、お父さんのお父さんとお母さん、お母さんのお父さんお母さん・・・という感じで先祖がふえていくのがすごくうれしかったです。だってこの人たちが一人でも欠けたら、いまの私はいなかったかもしれないから。でも、本当に先祖はすごいと思う。私たちのような大勢の子孫を残して、自分の一生を終わらせたのだから。だから、私も自分の子孫に感謝されるような先祖になりたいです。

■ぼくはご先祖に感謝しなくてはならないと思った。なぜか。ご先祖がいたから今がある。ご先祖がいたからぼくがいるからです。ぼくは感謝しながらご先祖の時代を覚えて、そして、大人になったら自分の子どもに教えてやる。子どもに正確に教えるために、これから歴史のことをまじめに勉強することにした。

■すごくビックリしました。ぼく一人の先祖だけで、昔の人口よりも多くなったからです。でも、先生が昔に行くほど生きてた時がずれたり、同じ人がだぶったりしたんじゃないかと言ったからなっとくしました。日本はとても歴史のある国だと思いました。

■ぼくの先祖がたくさんいることがわかってとてもびっくりした。もしかしたら、歴史の事件とかにかかわったのかなと思うと、とてもわくわくしてきた。歴史が好きになりそうだ。

■ぼくは日本の歴史がずっととぎれずに残っているなんてすごいなと思った。日本の歴史が残っているということは、ぼくたちの先祖がずっと生きているということなので、とてもすばらしいことだ。これから、ご先祖さまのことを思いながら、がんばって勉強したいと思います。
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『学校でまなびたい歴史』 2  歴史入門(7)

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6 不思議なことがある


『こうして源頼朝が鎌倉に幕府を開いた頃、いまから千年も前には、計算の上では、みなさん一人一人のご先祖が、なんと・・・一億三四二一万七七二八人いたことになってしまいます。しかし、こんなことがあり得るのでしょうか? 次の資料を見てください』
日本の人口推移
     小和田哲雄『すぐわかる日本の歴史』(東京美術)P1091

 これは歴史人口学による推計データである。この資料を見せることはたいへん重要だ。なぜなら、国の人口は過去にさかのぼるほど少ないという史実を示すことだからだ。
このグラフから、日本の人口の移り変わりを読みとっていくのである。

 およそ二千年前、日本が水田で米作りを始めた頃だが、人口はおよそ六十万人に過ぎなかったと推定されていることがわかる。現在のさいたま市の人口よりも少ない。

  およそ千年前、源頼朝の時代は七〇〇万人くらいだったと考えられている。

  およそ四〇〇年前、江戸時代が始まった頃は一三〇〇万人ぐらいだった。

 およそ一五〇年前、明治時代が始まった頃は三五〇〇万人だったらしい。

 明治時代以後は政府が人口調査を正確にやるようになったので、かなり実態がわかってくる。明治・大正・昭和・平成のおよそ百数十年が、歴史上空前の人口急増時代だったのである。そして、日本の人口が一億人を超えたのは、わずか三十年くらい前だということもわかってくる。

『これが事実です。歴史の実際はとても少ないご先祖から少しずつ子孫が増えていって、とくに最近の百年間で急激に増えて今の日本があるのです。そうして、いま日本には一億二千万人以上の子孫が住んでいます。人口は時代が進むほど増えてきたことが、この資料からわかります。それが歴史の真実です。
 だから、ご先祖をさかのぼればさかのぼるほど、その時代の日本人はどんどん少なくなっていくのだと考えなくてはなりません。
 では、私たちが今日考えたことはまちがいだったのでしょうか?
 私はそれももうひとつの真実だと思います。なぜなら、両親がいなければ子供は生まれないからです。どの時代にも、みなさんや私の先祖が、この日本で暮らしていたことはまちがいありません。
 両方真実だとしたら、これをどう説明すればいいのでしょうか。私は、この不思議を大学の先生にたずねてみました。教えていただいたことをみなさんにも教えましょう』

★両親二人が生きている時代、祖父母四人が生きている時代ぐらいまでは、生きていた時代はみなだいたい同じでそれほど大きなズレはない。しかし、時代をさかのぼればさかのぼるほど、ある先祖の世代全員の生きた時代は大きくズレてくる。すると、同じ先祖を持つ人どうしが結婚することがありうる。そうなったら先祖は二倍にはならなくなる。

★江戸時代以前は、いまのようにふつうの庶民は自由に住むところを変えない。同じ村やせいぜい隣村の男女が結婚して子供が生まれるという村の暮らしが長く続いた。今ではあまりないが従兄弟どうし等、親戚だとわかっている男女が結婚する場合も多かった。そういう村では、村人はみな遠い親戚になってしまう。例えば、お父さんとお母さんの先祖が同じだったら、さっきの二倍計算はできないことになる。このように先祖が同じ人物になる場合が多くなるので、実際の人数は計算のようには増えてはいかないのだ。

★このように、実際は少数の同じ祖先から現在の多数の子孫が生み出されたのである。

 弥生時代くらいまでさかのぼれば、日本人の多くは同じ先祖にいきついてしまうことが考えられる。
 六十万人が、およそ二千年後に一億人以上の子孫を生み出す先祖になるからだ。

 日本は島国で、大規模な人口移動(外国からの大量の人口流入)もなく、国が滅びるということもなかった国だから、弥生時代にも私たちの先祖がいたと信じられる世界でもめずらしい国なのだ。

 私たち日本人は、みな遠い遠い親戚だといってもいいのかもしれない。

『こういうことだそうです。先祖が重なっているので、実際の人数は計算のようにはいかかないということです。ご先祖の実際の数は時代をさかのぼるほどかえって少なくなるのですが、みなさんのたくさんのご先祖様の誰かが、必ずどの時代の日本もいたことだけは間違いがありません。ここが大切なところです。どの時代にも必ずいた二千年間の先祖を全部合わせれば、やはり「数え切れないほどたくさんいる」と言ってもまちがいではないでしょうね』

『学校でまなびたい歴史』 2  歴史入門(6)

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5 歴史の中には、たくさんのご先祖様が生きていた


『そうです。たいへんよく考えましたね。これから勉強していく歴史の中には、どの時代にもみなさんのご先祖様がいます。確かめることはできないし、これが先祖だという証拠もないけれども、もし大昔のその先までもご先祖様がいなければ、私たちはいまここにはいられないはずだからです。ただ、なんとなくたくさんいたとか、数えきれないくらいいたというのでは、私は少し落ち着きません。そこで、実際には何人ぐらいいたのかを計算してみることにしました。その資料を配りますから見てください』

 こう言って次の資料を配布し、子供たちとやりとりしながら、それを説明していった。
先祖の数

一世代をおよそ三十年間としよう。親が三十歳で子供が生まれたと考えてみるのである。そして、いまから三十年前に子供たちの両親が生まれたとする。
 こうして、ひとりの「私」の先祖の数を計算してみたのがこの資料である。
 どんなことがわかるか、詳しく見ていくことにしよう。

 みなさんの祖父母四人が生まれたのは、今からおよそ六十年前だ。日本がアメリカなどを相手に戦った戦争が終わる頃だろう。そのころ、日本列島のどこかにみなさんの祖父母四人が生まれていると考えよう。
 八人の曾祖父母は今からおよそ九十年前、明治時代が終わり大正時代が始まった頃に生まれている。日本がロシアとの大戦争に勝って世界の大国にまで発展した時代だ。

 ここで、そのころ「東郷平八郎や小村寿太郎が活躍していました」と、二人の肖像写真を見せておこう。八人のご先祖は、この人たちと同じ時代にこの日本のどこかで生きていたのです。

このように、歴史人物の写真や肖像画をフラッシュカードのように見せていくといい。
 これから教わる偉人たちと一緒に、自分たちの先祖も生きていたのだなという思いを強くするからである。
 では、二倍計算をさらに三回繰り返してみよう。
 一八〇年前は六十四人だ。それは日本列島の周辺にロシアやフランスの船が出没して、江戸の長い泰平の世が脅かされ始めた頃のことだ。

 こんどは、そのさらに二四〇年前を見てみよう。ちょうど織田信長、豊臣秀吉、徳川家康という、子供たちもよく知っている武将たちが活躍していた時代である。六十四人に、二倍を八回くりかえせばいい。 
 すると、今から四二〇年前の西暦一五八〇年頃には、私たち一人一人の先祖が、なんと一万六三八四人も生きていた計算になってしまう。

 子供たちはこの計算に大変興味を持った。自分たちが先ほど説明した「たくさん」が具体的な数字になって示されていくのである。そしてどんどん増え続けるご先祖の数に驚き、しだいに興奮していくのがわかる。こうして、自分の先祖の誰かが、たしかに歴史上の人物と同じ時代の日本に生きていたはずだということを実感していくのである。

 しかし、読者はもうお気づきだろう。そんなバカな数字はないだろうと。
 その通りである。これらは実際にはあり得ない数字なのである。

『学校でまなびたい歴史』 2  歴史入門(5)

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4 私のご先祖様は何人いるのだろう?

『さて、みなさんに聞きたいことがあります。その系図で、名前はわからないところもあるけれど、おじいちゃんが二人、おばあちゃんが二人で、合わせて四人いることがわかりましたね』
「はい」
『では、おじいちゃんとおばあちゃんを生んだ両親は、全部で何人いますか?』
「八人です」
『その両親は全部で何人いますか?』
「十六人です」
『その両親は?』
「三十二人です」

『その通りです。系図を一代さかのぼると、みなさんのご先祖様はどのようにふえていきますか?』
「はい・二倍ずつふえていきます」
「かける二をすれば人数がわかります」

『では聞きます。みなさんそれぞれのご先祖様は、全部でいったい何人いるのですか?』
「無限にいると思います」
「数え切れないくらいたくさんのご先祖様がいます」
「ものすごいたくさんの数です」

 子供たちは口々にそう答える。しかし、ここでかんじんなことを問わなくてはならない。わかっていることを論理的な言葉にして確かめておくのである。
『みんなが同じことを考えています。先祖は数え切れないくらいたくさんいるだろうと。本当ですか? どうしてそうだとはっきり言えるのですか?』
 しばらく間があって、数人の手が挙がる。

「両親がいなければ、子供は生まれないから、先祖は二倍二倍にどんどんふえていくからです」

「昔のどこかでご先祖様が一人でもいなかったら、私はいなかったかもしれないからです。もっと昔にもご先祖がいると思います」

「日本は、縄文時代とか、そこ(黒板のカード年表のこと)にない大昔まであるから、(先祖は)どんどんふえていくからです」

『学校でまなびたい歴史』 2  歴史入門(4)

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3 自分の系図を書いてみましょう


 系図とは何かがわかったところで、今度は簡単な作業をさせることにしよう。前掲の系図の四角の中が白紙になったプリントを子供たちに配って次のように言う。

系図2


『こんどは、みなさんが自分の系図を書く番です。まず、プリントの一番下の四角に、自分の名前を書きなさい』

 系図を知らなかった子も、系図は歴史上の有名人のものだと思っていた子も、齋藤先生に系図があるなら私にもあるとわかったはずである。それぞれが自分の名前を書き終わったところで、いったん鉛筆を置かせてから次の指示を出す。

『みなさんも将来は偉大な人物になるかもしれません。自分の系図を書いてみましょう。まず、お父さんとお母さんの名前を、次におじいちゃんとおばあちゃんの名前を四角の中に書きなさい』

 子供たちはさっと鉛筆を動かし始める。しかし、すぐにざわめきが起きてくる。父母の名前は全員が書けるのだが、ほとんどが四人の祖父母の名前すべては書けないからである。
 祖父母と同居している児童は少ない。祖父母の家が遠くて年に何回も会えない家庭が多い。またすでに亡くなられていて接したことのない祖父母もある。いや何よりも、彼らにとって祖父母は「おじいちゃん」「おばあちゃん」なのである。

『自分の系図を書いてみて、どんな感想を持ちましたか?』

「お父さんやお母さんを生んでくれた人なのに、その人の名前を知らないことに気がつきました」

「なんだか、もうしわけないというか、そんな気持ちになりました」

「家に帰ったら、名前を聞いて系図を完成したいです」

 そうですね。ぜひ自分の系図をたしかめてみてください。でも、みなさんがおじいちゃんとおばあちゃんの名前を知らないことはそれほど恥ずかしいことではありませんよ。親しみをこめて、ふだんはそう呼んでいるんですからね。でもこれを機会にお名前を書けるようにするのはとてもいいことです。そのプリントはいったん家に持ち帰って、お父さんやお母さんに聞いて完成させることにしましょう。

 みなさんの中には、将来日本の歴史に名前が残る人もいるかもしれません。もしそうなったら、未来の子供たちがその系図でみなさんのことを勉強することになるでしょう。

 こう話して、黒板に掲示した私の系図の、もう一代前を示す。

 八人いる曾祖父母の名前の一部は「?」にしてある。先生も、ひいおじいちゃんや、ひいおばあちゃんの名前は、もう全部はわかりません。それがふつうの家だと思います。もしかしたら、このクラスにはもっともっと前の先祖までわかる人がいるかも知れません。もし、わかるようだったら調べてみてください。


  こうして子供たちは系図とは何かを理解した。人物と人物をつなぐ線がある。横線は夫婦関係を、縦線は親子関係という血のつながりを表すこと。また、どんな人にも先祖=子孫のつながりがあり、たとえまだ書かれていないにせよ自分の系図があることを理解した。それは、子供たち一人一人が「私にもたくさん先祖がいるらしい」と初めて気がついたということなのである。

 ここまでの作業で、子供たちは祖父母の向こうに曾祖父母が、その向こうにそのまた両親が・・・・というふうに、どこまでも続いているに違いない先祖のつながりに気づき始めている。さらにまた、自分たちが生むことになるだろう子や、孫のこと。つまり、自分たちもまた未来の子孫から見れば、先祖の一人になるのだと気づいた子もいる。
 
 こうして、子供たちは「歴史とは何か」の入り口に立つことができた。いよいよこの授業の核心にたどり着いたのである。
プロフィール

授業づくりJAPANさいたま代表:齋藤武夫

Author:授業づくりJAPANさいたま代表:齋藤武夫
戦後70年間日本の教育は根無し草の「世界市民」を育ててきました。そのため小中学校の歴史教育はウソとタブーによって大事な内容が教えられていません。また誤って教えられています。
「授業づくりJAPAN」は、日本の教育のウソとタブーを排し、真実とフェアネスを取り戻していきます。
かつてGHQに禁じられた教育は現在も禁じられたままです。私たちは「日本人を育てる教育」を取り戻します。そのために、命ある限り授業づくりとその普及につとめます。私たちは「誇りある日本人」こそが「真の国際人」になれると信じています。

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