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歴史授業講座 29「廃藩置県と武士の自己犠牲」

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先生方は廃藩置県をどう教えているのでしょうか?
みなさんはどう学びどう理解していましたか?

恥ずかしながらぼくはこの授業をつくるまでその意味がまっったくわかっていませんでした。

ああ藩が県になったのね。
それって何なの?

から授業づくりが始まったのを覚えています。
いまから20年以上前のことです。

廃藩置県は数百年続いた封建制度を終わらせる政策でした。
「近代化」はこれができるかどうかにその成否がかかっていました。

幕府が終わり藩が終わると言うことは殿様から下級武士まで武士全員をリストラする政策でした。武士も町人も農民もなくなり、天皇の下に国民(臣民)の国家が生まれます。国民国家!

それをしなければ、年貢は藩に集まって武士の給料になり、いつまでたっても明治政府の金庫は空っぽでした。
明治4年まで何もできなかった明治政府。
それは政策を実行する予算がなかったからです。

廃藩置県ができれば全国の税を中央政府に集まり、国づくりを進めることができます。

しかし日本から武士を消してしまって本当にいいのでしょうか?

賛成派と反対派に別れて子供たちは自分の考えを発表します。

この討論も白熱します!
子供たちは日本のために全身全霊で考えて発言します。

わかりきっているように見えますが決してそうではありません。

たしかに近代化し四民平等の国民国家を作ることは日本の避けられない運命ではあったのですが、日本から武士がいなくなるということは日本にとってとても大きい事件でした。武士がいなくなるダメージの大きさを必死で主張し続けた廃藩置県反対派の児童の声がいまでも耳に残っています。

こういう国家のリーダーになってみる討論は、一国民として国のあり方を考え、望ましい政策を考える訓練になるのだと考えています。

歴史を「わがこと」として学んだ子供たちは、主権者として考え、自分の国のために責任を果たすのは当然のことだと思うようになります。
これは「先生の話を聞くだけの授業」授業では得られない児童生徒の変容です。

また国のリーダーになっての討論をくり返すことによってもうひとつ大事なことを学びます。

それは100%正解の政策も100%間違っている政策もないんだなというメタ理解を学ぶことです。

お互いの考えが「国のために考える」という目的であれば、それぞれに主張する理由があり、お互いに相手の考えを聞いてみる価値があるのだとわかるようになります。
そして反対の意見を持つ級友に対するリスペクトが生まれます。

ただそうすべきだからではなく、事実として、自分には思いつかなかったことを相手が考えていることに驚き、意見が対立するからわかることが増え、自分の考えが深まり、議論することが楽しくなり、その大切さを実感するのです。
この学びと実感こそが民主主義という非能率な政体を支えます。

繰り返しの議論の経験を通して、民主主義を支える理念の中心を、すなわち「言論の自由」が正義の原点であることを学ぶことになるのです。



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